2010.01.25
季節を伝える「走り・旬・名残」
日本料理の中でも特に季節感を大切にするのが懐石。
献立を立てる場合には、土地の気候・風土ならではの
食材の旬を知らなければなりません。
「旬」とは出盛りの時のことで一番美味しくなる時期。
その食材がもつ自然の本当に美味しい味を
ご賞味いただく料理を考えます。
それとは別に「初鰹」のように
「みんなが食べる前に初ものを食べたい!」
というような欲求もあります。
そのため未だ成熟していないものにも
おいしく手を掛けて献立に加えます。
このような出初めのものを「走り」といいます。
また旬も過ぎつつある食材をその季節への感慨を以って
「名残」を惜しんで食べていただくこともあります。
移りゆく季節感を味わっていただくために、
「旬」真っ只中の食材だけでなく、
季節を先取りした「走り」の食材や
「名残」の食材を上手に組み合わせて献立が出来上がります。
しかし!
季節感は食材だけではありません。
例えば掻敷(かいしき)。
掻敷は器に盛る食べ物の下に敷く木の葉などのことで、
食器のなかった頃に木の葉に盛ったことにはじまるようです。
紙の掻敷もありますが、花や枝葉、実などを使うことで
日本料理ならではの季節感や趣きを添えます。
季節によっていろいろな植物を使いますが、
“旬の四十五日前から”というのが業界定説?なのだとか。
こちら、旬の河豚と一緒に写っているのはアオキ。
茎が青いからアオキ(青木)?
今の時期によく掻敷葉として使われる植物です。
このみずみずしいアオキが
今日にも明日にも、季節のあしらいとして
お客様の器に登場することになるのでしょう
Written by Web担たかい@欽山
(参考:調理師必携シリーズ 献立ハンドブック資料編)
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